先日、患者さんで脱力した状態で前腕の回内が起きているケースに遭遇しました。
結論から言うと、母指伸筋、示指伸筋、母指外転筋を緩めたら改善が見られました。
この現象を考察しました。
母指外転筋、示指伸筋、母指外転筋をもう少し詳しく言うと
- 長母指外転筋
- (短母指伸筋)
- 長母指伸筋
- 示指伸筋
が狙った部位ですね。全て尺骨の後面に付着しています。画像で示すとこんな感じです。
尺骨の後面に付着しているので、これらの筋肉が短縮する事で尺骨が橈骨の後面を通る方向で尺骨が動いたと考えられます。
図で示すと図2のような感じですね。
尺骨が橈骨の後面を通る方向に動く。つまり以下の図のような感じです。
つまり、回内が起きたということですね。
ここで、イヤイヤ違うんじゃないの?と思った方はこう思ったんじゃないでしょうか?
「母指伸筋が短縮したら母指が伸展されるだけだし、示指伸筋についても示指が伸展、母指外転筋は母指が外転されるだけじゃないの?」
僕もそう思いました。
ただ、実際はもっと複雑で長掌筋や尺側手根屈筋といった屈筋群も短縮していました、各筋の相互作用で結果的に回内していたというわけです。
まとめ
この患者さんは包丁で硬いものをよく切るという事だったので母指外転、手関節背屈を固定した状態で長時間作業することが多いそうです。
なので、上記の筋が短縮していたんだと思います。
一応プロメテウス解剖学アトラスには、母指外転筋、示指伸筋、母指外転筋は通常回外に作用(補助)すると載っています。
でも、今回のケースでは回外ではなく回内に貢献していたわけです。
こういうケースは正常なケースではないので通常の考え方ではいけないのかもしれません。
ただ、一つ言えるのは回内しているからと言って安易に回内筋にこだわってしまうと大切なことを見落としてしまうかもしれないということです。
では最後まで読んで頂きありがとうございました。
コメント