最も効果的に受けるには力を抜くというのが一番です。
とはいえ、『力を抜きたいけど抜けないよ』という方も多いのではないでしょうか?
そんな声が多いのもわかります。
これには、
『施術が荒っぽくて力を入れて踏ん張らないと施術に耐えられない』
残念ながらそんな施術をしている施術者がいることは事実です。
なので、施術する側も患者さんには力を抜いてもらえるように施術する事を心がけましょう。
で、力を抜いてもらうためにはどうするかというと、もちろん力を抜いてくださいという声かけをすればいいという人もいますが、その声掛けで抜けない人もいます。
ナゼ力を抜いてくれないのか?
ナゼ力を入れるようになってしまったのか?
それが今回このテーマで話をしようと思った理由です。
マッサージや整体は受ける人との共同作業
マッサージや整体は、受ける人と施術する人がお互いに同じ目標に進んでいくパートナーのようなものです。
その目標は『一緒に体を整える』というものです。
この目標をお互いが持っていないと施術の効果が薄くなってしまいます。
僕は、施術をしていて効果の出やすい人と効果の出にくい人がいることに気が付きました。
最初はナゼなんだろうと思いました。
同じように施術しているのに同じ効果が出ないんです。
もちろんその頃はナゼ鍼灸やマッサージで治るかも分かっていなかった頃なので、
『うまく症状の原因となるコリを狙えただけだ。』
という感じでまぐれで効果が出ているだけだと感じていました。
でも、再現性のある効果を出せるようになったことで上手に受けてもらう工夫も必要だと気が付きました。
それが、
『力を抜いてもらえるようにする』
という事だったんです。
ナゼ力を入れると効果が激減するか?
では、ナゼ力を入れると効果が出にくいか説明していきます。
まず、効果の出にくい人は力が入っていると説明させてもらいました。
力が入るパターンには2種類あって、
無意識に力が入っている人
意識的に力が入っている人
の2パターンあります。
意識的に力が入っている人は信頼関係ができていれば声掛けで力を抜いてくれますが、無意識で力が入っている人はなかなか難しいです。
いずれの場合にしても力を抜いてもらわなければ効果が激減するのでうまくやっていかないといけません。
僕は以前の記事でもお話させてもらいましたが施術の方法を一言で表すと
『緊張した筋線維を一つづつ丁寧に緩めていく』
という感じで進めていきます。
緊張した筋線維を見つけるためには正常な筋線維と緊張した筋線維を区別できるようにしないといけません。
そのためには、緊張した筋線維が軽くストレッチのかかった状態に持っていきます。
その時、正常な筋線維は短縮していないので、ゆるゆるな状態です。
ですが、緊張した筋線維は短縮しているのでストレッチがかかり始めます。
そうなると、短縮した筋線維は弾力が変わるのですぐ発見できるようになります。
その状態に持っていったあと、そのストレッチがかかった筋線維に丁寧に刺激を与えてあげます。
そうすると、筋線維がほどけるように『じわっ』とゆるんでいきます。
これが、一連の流れになります。
ここで、相手が少しでも力を入れるとどうなるか?
本来、ゆるゆるなはずの正常な筋線維まで硬さが変わります。
そうなると、短縮した筋線維の存在を把握できなくなってしまうのです。
他にも、筋線維がわずかにストレッチがかかるぐらいの体勢にしているのに、少し力を入れるとストレッチが無効な状態になるケースがあります。
そうなっても、短縮した筋線維は見つけられなくなります。
このように、患者さんには力を入れないようにアプローチを取らないと短縮した筋線維を見つけられなくなってしまいます。
これが、力を入れると効果が激減する理由です。
ナゼ力を入れるようになってしまったのか?
ここからは余談にはなりますが、力を入れてしまう人は何故力を入れるようになってしまったのでしょう?
僕はその原因に施術者側にも問題があると思っています。
それは、『痛み』を与えることで満足感を与えようとする施術者がいるからだと僕は思っています。
施術の正解がわからない時期
僕も初心者の頃、患者さんから
『あー、よく効いてる』
という言葉を強さの基準にしていた時がありました。
患者さんからそういう反応がないと不安で仕方がなかったのです。
施術で効果を出さないといけない、でも効果の出し方がわからない。
その中で患者さんから『よく効いてるよ』という言葉だけが拠り所になってしまっていた時がありました。
『受けるプロ』との遭遇
中には『受けるプロ』のような方もいます。
ある程度押せるようになると『受けるプロ』の方とこんなやり取りがあります。
プロ「もっと強く押してみて」
僕「こうですか?」
プロ「おー、よく効くな。それぐらい押せるやつは中々おらん。うまいな。」
と『受けるプロ』の方から太鼓判を押されたりするわけです。
もう、何十年も施術を受けている人から『上手い』という太鼓判を押されるわけです。
そういう過程を通して自信を付けていくわけですが、それが治療と直結していれば良いのですが、そういう訳ではありません。
『受けるプロ』から「上手い」といわれてもまだ治療は出来ませんでした。
治療の具体的な方法は学校では教わらない
残念ながらどうすれば治療できるか具体的な方法を学校では教わりません。
記事にはしましたが、肩こりの原因も疲労物質だとか血行不良だとか言われています。改善するためには温めたら良い、という答えが今は一般的です。
以前の記事でもお話したように温めても肩こりは多少軽くなる気はしますがその程度です。
治ると思ってやっても満足行くぐらい治ることはありません。
これだけ一般的になっている改善方法なのに、効果に関しては疑わしい。つまり、まだ科学的な証明が出来ていないということです。
なので、学校でも教えてもらえないので治療方法は自分で見つけるしか無いということだったのです。
まぁ、そんな風に手探りでやっていく中で患者さんの思いに応えられない施術になっていってしまった時期だったという感じですね。
当然ですが、初心者の間は触った感触でそこが触るべき部分なのか、触るべき部分ではないのかなんてわかりません。
こういう理由があって患者さんも我慢しなければならないとか、強くないと効果がないとかそんな認識になってしまっているんだと思います。
受けることに恐怖を感じる患者さん
あと、更に良くないことに、そういう施術を受けた為に翌日になって体にひどい揉み返しのような痛みが出てしまう人が稀にいます。
そんな方は受けることに恐怖を感じるようになってしまっています。
そういう方を見ると、かつての自分や勘違いからそんな施術になってしまった人にあたってしまったんだと申し訳ない思いになってしまう事があります。
僕がそんな方を施術する時は、まず恐怖を取り去るために痛みを与えないように最大限注意をはらいながら施術して、施術に対しての恐怖を取り去ることに努めます。
もちろん、そんな施術じゃ効果も出ないかも知れません。
でも、効果をだせるような施術をする前に施術に対しての恐怖を取り去って、はじめて効果を求めることができると僕は思います。
まずは出来る限り信頼してもらうことに努めて、その後に自分の施術を試みていくという感じで僕はこれまでやってきました。
まとめ
現状でまだまだ確実性のある施術方法が一般的にはなっていないと感じています。
ですが、20年通してようやくわかったことは施術する側も、受ける側もお互いの協力があった時に最も効果が発揮されるとわかりました。
これを一般的な認識にするには、施術する側がまず受ける側に我慢を強要してしまっては駄目だということです。
でないと受けるほうが力を抜いているのに、施術する側が荒っぽく施術してしまっては受ける方の体が壊れてしまいます。
今の段階ではまだまだ、勘違いが生まれるかも知れませんがこの先少しづつでもそんな勘違いが生まれないようにしていきたいです。
今日はこのぐらいで終わりにしておきます。
有難うございました。
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